【インタビュー前編】歯周病について歯医者さんに色々と聞いてみた!

口臭予防

今回は歯周病と全身疾患の関係について、兵庫県伊丹市の阪急伊丹駅前で開業されている坪井新一先生にお話を伺いました。

国民の80%が歯周病!

どれくらいの人が歯周病に罹っていますか?

坪井先生:
成人性の歯周病は20歳過ぎからだんだんと増えて、40代でだいたい80%くらいの方が何らかの歯周病を抱えています。つまりほとんどの人が歯周病に罹っていることが、国民病の一つと言われる所以です。

ただ最近では学校検診に行くと、小中学生のあいだでも、歯茎の一部分が腫れていたり、出血があったりと、歯周病に罹っている方を見かけます。これは食生活の変化、とくに歯に対して粘着性のある食べ物なんかが原因かなと推測しています。

そもそも歯周病とは?

坪井先生:
磨き残した歯と歯茎の境目に溜まった歯垢は、口腔内の細菌のかたまりです。この中の悪い細菌によって、最初は歯肉炎を起こします。歯茎が歯肉炎に罹ると歯周ポケットができます。歯周ポケットとは、歯茎が腫れ

て歯と歯茎の境目が深い袋のようになった状態です。ここに更に細菌が溜まる悪循環に陥ります。この悪循環が進むと、細菌が歯槽骨を溶かしていきます。歯槽骨とは歯の根っこが埋まっている骨で、歯の土台になっているものす。

どんな症状が出ますか?

坪井先生:
かなり進行しないと症状に現れません。
そこが厄介なところでもあります。まず歯茎が赤くなる、腫れる、出血する。酷くなると膿が出てきます。
更に進むと、歯が動いてくる。
歯が動くと、噛むのが痛いのでよく噛めません。
最終的には歯を支える歯槽骨が溶けて、歯が抜けます。

虫歯と違って痛くない?

坪井先生:
歯周病はなかなか自覚症状が出ません。
虫歯の場合は「しみる」「痛む」という症状が出て、早期に気づきやすいのですが、歯周病は20歳を過ぎてから20年、30年と時間をかけて気が付かないうちに進行します。
そして40代、50代になって出血したり膿が出たりして、ようやく気付くというケースが多いです。

口臭も症状の一つですか?

坪井先生:
はい。
膿が出ますし、歯周病の菌が増殖されていますので、歯周病特有のニオイがしてきます。

ドブの泥のようなニオイのことですか?

坪井先生:
そうですね。
口臭には程度がありますが、このレベルになると相当歯周病が進んでいるとも言えます。

「フー」でも結果は同じ

実は坪井先生も、口臭ゼロのおっちゃんと同じ口臭測定器を使ってます。
そこで確認!

「フー」と「ハー」で、口臭測定に違いが出ますか?

坪井先生:
息の中に含まれている成分を検知するのが口臭測定器です。
検知するには強く長く息を吹き付ける必要があり「ハー」では測定器が反応してくれません。
「フー」も「ハー」も同じ成分ですから、測定値に違いは出ません。

歯周病と分かって歯科医院に来る人が少ない

歯周病の治療とは?

坪井先生:
実は自分が歯周病だと分かって歯科医院に来る人は少ないのです。私たち歯科医師は、なるべく早い段階で見つけてあげたいのです。そこで他の症状で来院した人にもいろいろな検査をします。レントゲンを撮ったりとか、ポケット検査という歯と歯茎の溝の深さを測ったりとか。その結果「あなたは歯周病ですよ」と、歯科医師が見つけてあげないと患者には自覚のない「静かな病気」です。

そこから歯周病の治療が始まります。

まずはプラーク(歯垢)コントロール。歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスを使って正しく歯垢を患者自身が取り除けるよう指導します。
それと並行して歯石を取り除きます。

歯石は自分では取れないものですか?

坪井先生:
自分では取れません。
歯科医師や歯科衛生士が専用の機器を使って取り除きます。歯と歯茎の境目に付いている歯石や、歯周ポケットに溜まって歯茎に隠れている歯石を取り除きながら、一方で検査をして経過を観察。これを繰り返します。初期や中等度の歯周病は、これで進行を止めることができます。中等度の人は、歯槽骨が一部溶けています。
骨は元に戻らないので、いかにして早く見つけて、骨が溶けるのを止めることが歯周病の治療です。

歯茎に隠れている歯石が多いケースでは、歯茎を切り開いて、歯科医師が直接歯の根を観て歯石を取ります。

痛そうな治療ですね

坪井先生:
いいえ。
麻酔をしますから歯石を取っている間は全然痛くありませんし、治療が終われば飲み薬も出しますから、それほど大したものではありません。

歯周病は完治しない

歯周病が完治するのに、どれくらいの期間がかかりますか?

坪井先生:
歯周病で歯槽骨が溶けたものは元に戻らないように、歯周病は私たちが言うところの「完治」はできません。ただし歯茎を締まらせることはできます。

つまりプラークコントロールと歯石除去で歯茎を健康にして、歯槽骨が溶けるのを止めるようにすることが治療になります。

若くて少し腫れている人なら、ブラッシング指導をして歯石を取ることで、1週間で治ります。
少し歯槽骨が溶けている人の場合は、1,2ヶ月かけて治します。

その後定期的にメンテナンスをつづけます。

早期発見・早期治療+メンテナンス

坪井先生:
歯周病は生活習慣病の一つです。なかなか症状が現れません。44

自覚症状が無くても歯科医院に行って、早期に発見すれば軽度な症状で済みます。そして定期的に、例えば3ヶ月に1回メンテナンスをしてもらうことで歯周病を予防もしくは進行を止めることができます。

もちろん口臭予防にも直結します。

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